今や当たり前?通勤で有料特急を使うメリットや方法は?
日本の電車通勤と言えば、満員電車で立ちっぱなし、ラッシュとは切っても切り離せない…そんなイメージをお持ちの方は多いでしょう。
しかし、そのイメージは少しずつではありますが、変わってきつつあるのかもしれません。
参考までに、東洋経済オンラインでは以下のような記事も掲載されています。
名古屋の私鉄では「特急通勤」が定着している | 通勤電車 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
近年、電車通勤に新たな風を吹き込みつつある有料特急。
使うことでどんなメリットがあるのか、利用できる路線はどこなのか…気になる点をチェックしてみます。
メリットその1 通勤時間の短縮
特急は、停車駅には普通や快速よりも早く到着します。
これにより通勤時間の短縮に繋がり、時間の使い方の幅が広がるのです。
例えば早めに出社して、早朝の静かで集中しやすい時間帯に仕事を進められますし、家での朝の時間をより多く確保して、遅めに家を出ることもできるようになります。
ただし、このメリットには注意すべき点もあります。
自宅からの最寄り駅や勤務先の最寄り駅が特急の停車駅ではない場合、乗り換えの手間や、乗り換えの電車を待つ時間を考慮する必要があるからです。
これはケースバイケースなので一概には言えませんが、ひょっとすると、快速を利用するのと、特急と乗り換えを利用するのとでは、対して通勤時間に違いがないかもしれません。
メリットその2 確実に座れる
メリットその1は、人によってはあまりメリットとして感じられないかもしれませんが、どんな人にも得られるメリットも存在します。
それは、「確実に座れる」という点。
東京、もしくはその近郊の通勤列車ともなれば、座れることの方が珍しいのではないでしょうか。
そんな状況において必ず座れるというのは、肉体的にも、精神的にもかなり楽になります。
仕事帰りの疲れを軽減することはもちろん、朝から無駄に体力や気力を消費せずに済むのは大きな利点と言えるでしょう。
また、座れるということは、必要に応じて電車内で行う仕事が容易になる、ということでもあります。
現在ではスマホでできることも増えてきましたが、仕事を行うにはまだまだパソコン、もしくは筆記用具などを使ってアナログで…という方も多いはず。
パソコンやアナログでの作業は、立ちっぱなしではやはり行いづらいですし、仮にできたとしても、満員電車で立っている状況よりは、ゆったりと座れている時の方が仕事に集中しやすいでしょう。
有料特急は、通勤中にゆっくり休みたい方だけでなく、通勤中にも仕事をこなしたいという方にとってもメリットがあり、どちらのタイプにとっても仕事の効率化に繋がるのです。
ただし、確実に座れるのは指定席が存在する列車だけである上に、列車によっては、特急料金とは別に指定席の料金がかかる場合もあります。
指定席がないものでも通常の車両よりは座れる確率は高いでしょうが、必ず座れるとは限りませんのでご注意くださいね。
・都内やその周辺で有料特急が使える路線は?
では、ここからは、東京都内、もしくはその周辺で利用できる、座席指定可の有料特急について見ていきましょう。
平日の通勤時間帯に東京や近郊を走る有料特急というと、小田急電鉄の「小田急ロマンスカー」、京成電鉄の「モーニングライナー」と「イブニングライナー」、東武鉄道の「TJライナー」、京急電鉄の「モーニング・ウィング号」と「ウィング号」などがありますが…
正直に申し上げますと、たまに使う分には便利なのですが、通勤の度に使おうとした場合には少々不便、と言わざるを得ません。
その理由についても、これからご説明していきます。
ですがその前に、まずは今挙げたうちの2つを、簡単ながらご紹介しましょう。
まず、京成電鉄の「モーニングライナー」「イブニングライナー」は、その名の通り、成田空港と上野の間を毎日朝に4便、夕方に7便運行している特急列車です(ただし、朝の2便は成田駅が始発となっています)
特急料金は1乗車につき410円で、指定した乗車駅から、指定した「モーニングライナー」の指定席を1ヶ月間何度でも利用できる「モーニングPASS」が8,000円で販売されています。
・チケット購入のご案内 | スカイライナー成田空港アクセス | 京成電鉄
また、京急電鉄の「モーニング・ウィング号」と「ウィング号」も、似たような列車です。
「ウィング号」は、夕方ラッシュの時間帯に合わせて運行し、品川駅から三崎口駅までを結んでいます。
一方、「モーニング・ウィング号」は平日の朝2本限定の運行で、三浦海岸駅からの出発となりますが、品川駅、もしくは泉岳寺駅以外での降車はできないようになっています。
「モーニング・ウィング号」、「ウィング号」共に特急料金は300円ですが、指定した列車を1ヶ月間利用できるWing Pass(5,500円)が適応されるのは「モーニング・ウィング号」のみ。
つまり、平日の朝に運行する2便のうちのどちらかを選択する、という形になるわけですね。
・モーニング・ウィング号、ウィング号 | 京急の電車紹介 | 電車・駅・路線 | 【KEIKYU WEB】京急電鉄オフィシャルサイト
特筆すべきは、朝限定とはいえ、有料特急を定額で一定期間利用できるパスが販売されているという点。
実は、東京近郊を走る他の有料特急には、こうした定期券のようなサービスが現時点(2017年9月時点)では存在しないのです。
なお、都心を走る路線も多いJR東日本においても、東海道線、横須賀・総武線快速、湘南新宿ラインなどの一部路線ではグリーン車がある車両が運行しています。
しかし、こちらは座席指定制ではなく、あくまでも座席数が決まっているだけに過ぎません。
普通列車グリーン券の金額は乗車区間の距離で決まり、平日の場合、50kmまでなら770円、51km以上なら980円となります。
座席が保証されるとは限らない上に、私鉄よりも割高なのは否めませんね。
1ヶ月1万円を切ることも?大阪、名古屋の有料特急事情
このように、都心や近郊の有料特急は、残念ながら、手放しに便利だと賞賛はできない現状にあります。
とはいえ、「そんなに不便なの?」と思われるかもしれませんね。
そこで、日本全国の中でも特に通勤者が多いと思われる、関西、東海の例と見比べてみましょう。
例えば、関西の南海電鉄では、「ラピート」「サザン」「りんかん」「泉北ライナー」の4つの有料特急で、
同じ時間の同じ座席を1ヶ月単位確保できる、定期特急券・定期座席指定券が販売されています。
料金は、1ヶ月で9,260円。
ただし、あくまでも有料特急特急券とその車内での座席を確保する券なので、乗車券(運賃)は別途必要になります。
対象となっている列車の特急券の料金は、区間によって異なりますが、おおよそ510円、高い場合で780円です。
また、東海の名古屋鉄道では、ミュー定期券という名で、平日限定で同一区間・同一列車・同一座席を1往復分確保できる定期券を販売しています。
こちらは、1ヶ月で13,400円(※こちらも通常の区間定期券とセットでの購入が前提となるため、その分の料金は別途必要です)
名鉄での特別車両券(特急券)は、1乗車あたり360円です。
いかかでしょうか?
こうして比較してみると、東京の有料特急が不便、かつ割高であることがお分かりかと思います。
しかし、「日本最大の通勤ラッシュへの煩わしさが軽減される」といった、大きなメリットがあるのもまた事実。
メリットと天秤にかけた上で、かかる費用と手間を相応と見るか、高過ぎると見るかは、人それぞれでしょう。
ただ、今後、新たな有料特急やそれに関するサービスが展開される可能性も考えられます。
現時点で利用するかどうか、一度検討してみるだけでなく、「電車通勤の選択肢が広がってきている」ということを覚えておくだけでも損はしないかと思いますよ!