通勤中のお腹の痛み!その原因と対策法を徹底解説
前日に暴飲暴食をしてしまったわけでもなければ、特に病気を患っている心当たりもなく、元々体質的に便秘気味や下痢気味というわけでもない。
にもかかわらず、通勤中に突然腹痛が襲ってきて、トイレに駆け込みたくなったり、張るような痛みに悩まされたりする・・・。
皆さんには、こういった経験はありませんか?
そして、特に電車通勤においてその経験がある方は、「我慢しない方がいいのは分かっているけれど、途中の駅で降りてトイレに行くのも、再び電車に乗るのが手間だし、何より会社に遅刻してしまうかもしれない」などと、ジレンマのような思考を巡らせたことも、おそらくあおりでしょう。
通勤中にお腹が痛くなるのはなぜ?
実はこの症状は、多くの場合、ある疾患が原因となっています。
その名も、「過敏性腸症候群」。
名前を見る限りでは、「過敏な腸による症候群」のようです。
では、この症状はどんなメカニズムで起こるのでしょう?
西宮ながた整体院のブログによれば、
自律神経と内臓は相互に深く関与しているのですが、特に腸との結びつきは強く
他の臓器と比較して、より影響を与え合いやすい事が知られています。
(中略)
過度のストレスに晒されることにより、脳が緊張することに伴って腸も緊張し、
蠕動運動が早くなる(下痢)、もしくは蠕動運動が遅くなります(便秘)。
とのこと。
ここで言われる蠕動運動とは、大腸が水分を吸収するための運動を指します。
つまり、脳がストレスを感じることで自律神経が乱れ、さらに自律神経と連動して、水分を吸収する腸の運動も乱れてしまうために、下痢、もしくは便秘になってしまうというわけですね。
※ただし、必ずしも、通勤中の腹痛=過敏性腸症候群とは限りません。他の原因も考えられますので、ご自身の考えや判断だけで断定されませんよう、ご留意いただければと思います。
過敏性腸症候群の対処・予防法
さて、腹痛の原因が分かると、それにどう対処すればいいのかも見えてきますね。
先ほど説明したように、過敏症腸症候群の原因は、脳が感じるストレスの影響を、自律神経を通じて腸が受けてしまうことにあります。
であれば、ストレスを軽減するのが一番の予防法と言えるでしょう。
ストレスには、その要因として、大まかに精神的なものと身体的なものに分けられます。
精神的なストレスで重要なのは、リラックスすること。
家に帰ったら自分のリラックスできることをしたり、ぬるめのお風呂にゆっくり浸かったりして、定期的に息抜きをするようにしましょう。
一方、身体的なストレス軽減のカギは、食事と睡眠です。
起床や食事、睡眠をできる限り決めた時間に行うように心がけ、体のリズムを作ることを意識するといいでしょう。
食事を3食、きちんと食べるのもポイントです。
ただ、精神的なストレスが原因で寝不足になれば身体へのストレスにも繋がるように、両者は密接な関わりがあります。
したがって、できればどちらか一方ではなく、「定期的にリラックスできる時間を作ることで精神的なストレスを解消」し、「規則正しい生活を送ることで身体的なストレスを軽減する」ことが重要となるわけです。
また、食べるものに意識を向けるのも効果的です。
下痢になりやすいタイプの方は、冷たい食事や飲み物などでお腹を冷やさないように気を付け、逆に便秘になりやすいタイプの方は、食物繊維が豊富な食品を食べるようにするといいでしょう。
食物繊維が多い代表的な食材としては、キャベツ、ごぼう、豆類、海藻類などが挙げられます。
とはいえ、いくら下痢や便秘防止に役立つとはいえ、無理をするとかえってストレスの原因となってしまいますので、できる範囲で心がけてみてくださいね。
あるいは、少し視点を変えた方法として、腸の蠕動運動自体を起こさないようにする、という手もあります。
具体的には、ずばり、「通勤前に朝食を食べない」こと。
腸の運動は、摂取した食べ物から栄養分や水分を吸収するために行われるので、そもそも食べなければ腸の動きは穏やかなまま。
よって、腸の動きが乱れて下痢や便秘になる可能性も低くなるのです。
もし、会社や勤務先で朝食を取れるようであれば、この方法も考えてみてはいかがでしょうか。
もし、お腹が痛くなったらどうすればいい?
ここまでご紹介した予防法や対処法は長期的なものであり、どうしても効果が現れるまでに時間がかかってしまうこともあって、たとえ実行していたとしても、やはり腹痛に襲われることは考えられます。
そんな時には、できるだけ早めにトイレに行くのが一番です。
とはいえ、常にトイレに行ける状況でお腹が痛くなるのであれば、ここまで苦労はしませんよね。
実際には、トイレに駆け込めないような時でもお構いなく発生してしまうからこそ、困ってしまうのです。
もし、通勤中、すぐにはトイレに行けそうにない状況でお腹が痛くなってしまったら、どうすればいいのでしょう?
応急処置的な手段としては、姿勢を変えるのがいいと言われています。
お腹が痛いとつい前屈みの姿勢になってしまいがちですが、実は、背筋を伸ばして立つ姿勢の方が痛みが和らぐとのこと。
他にも、音楽を聞いて気を紛らわせたり、ツボを押したりするといいという話もありますが…
姿勢の話も含めて、いずれの方法も、医学的に効果が実証されているとは言い難いのが実情です。
やはり最も確実なのは、予め薬を持ち歩いておくことでしょう。
特に下痢になってしまう方の場合は、水無しでも服用できる市販の下痢止めを、通勤電車の中でもサッと取り出せるような場所に入れておくと役立ちます。
さらに、「薬があるから、いざとなっても大丈夫」という心持ちでいられることは、それだけでもストレス軽減に繋がります。
持っておくだけで気持ちが軽くなって腹痛防止に繋がるのであれば、実際に使うかどうかは関わらず備えておくことをおすすめします。
もし、お腹が痛くなったらどうすればいい?
以上、長期的な予防法やとっさの時の対処法について取り上げていきました。
防止や対処を行っていても、症状が改善されているように感じないのであれば、医療機関での診察を受けることも検討してみましょう。
この際、できれば内科だけではなく、心療内科にもあたってみてください。
原因がストレスの場合は内科だけでは治療しにくいですし、逆に、万が一別の病気が潜んでいる場合は、心療内科では発見できない可能性があるからです。
通勤時の腹痛で困っているのはあなただけではありませんし、誰にでも起こり得る症状です。
「自分の体や心が弱いからだ」とご自身を責めたりせず、「人の体にはこういう症状が出ることもあるんだ」と受け止めた上で、正しく向き合い、対処していきましょうね。